富士通のリレー式計算機

https://www.fujitsu.com/jp/about/plus/museum/relay/
富士通は、富士通沼津工場池田記念室に設置されているFACOM128Bと、川崎工場富士通テクノロジーホールに設置されているFACOM138Aに関して、動態保存をおこなっている。本WEBページはそのことに関する紹介ページである。
リレー式計算機とは、演算素子として電磁リレーを用いた計算機である。リレー式計算機では、電磁リレー(電磁石を使ったスイッチ)の接点に電流が流れるか流れないかを電気回路のON/OFFに対応させて計算を行っている。
 FACOM128Bでは、CPU(中央演算処理装置)部分に約5000個のリレーを使用している。同機では「リレーは機械的に動作するため、接触不良を起こしにくい回路設計やリトライ機能(自己検査機能)に工夫がこらされた」とされている。
 
2.電磁リレーの動作図
電流が流れていると、図aのように電磁石に発生した磁力によって接点が「吸引」されて「ON」状態となる。電流が流れていないと、電磁石の磁力がなくなるため、ばねによって図bのように接点が元の位置に「復帰」し「OFF」状態となる。

松下電器製造・技術研修所編(1978)『制御基礎講座1 プログラム学習によるリレーシーケンス制御』廣済堂出版、p.63。
 
3.富士通のリレー式計算機FACOM128(1956)の広告(1957年)
以下の広告は、科学技術庁監修(1957)『科学技術展望』Vol7 No2に掲載されていたものである。

広告1.富士通のリレー式計算機FACOM128(1956)のスペック広告(1957年)
プログラミングが容易であることを第一の特長として挙げるとともに、第2の特長として「演算速度が大」とし「本機によって演算を行うときは人手を用いる場合の100倍以上の能率を上げることができます」とされている。
 電磁リレーは機械的装置であるため、その演算速度は現代的視点から見るとかなり遅かった。すなわち演算の実行速度は、加減算0.15秒、乗算0.15~0.4秒、除算および開平算 0.2~1.4秒などというように、低速なマシンであった。

 
広告2.富士通のリレー式計算機FACOM128(1956)のシステム構成に関する広告(1957年)
リレー式計算機(図では継電器架と表記されている)の入出力装置として、カードリーダー、数値テープ読取機・穿孔機、命令テープ読取機、印刷機、テープ作製台が例示されている。
また用途として、「天体科学、工業技術、経済数理、その学術一般」を挙げている。

富士通リレー式計算機のシステム構成

 
広告3.富士通のリレー式計算機FACOM128(1956)の製造プラントにおけるプロセス・オートメーション利用に関する広告(1957年)