バンダイのピピンアットマーク(1996年3月):アップルとバンダイの共同開発によるゲーム専用機

総販売台数 4万2千台[北村ヂン(2019)]

[図の出典]日本語版ウィキペディア「ピピンアットマーク」https://ja.wikipedia.org/wiki/ピピンアットマーク

嬉野勝美(1996)p.48によると、アップルとバンダイの共同開発によるゲーム専用機ピピンアットマークに関して、バンダイは同機の開発に100億円を投資し、Appleも1996年1月の株主総会で同機を端末として活用していくと発表している。
宮河恭夫(当時、バンダイ・デジタル・エンターテインメント取締役)が映像産業振興機構(2019)の中で語っているところによれば、ピピンアットマークの事業を担っていたバンダイ・デジタル・エンタテイメント社が解散した時の特別損失の額は、270億円と当時のバンダイの利益を上回る巨額なものであった。

 
価格
基本セット49,800円(税抜価格)
専用モデムが付いたネットワークセット64,800円(税抜価格)
[電話線接続によるインターネット接続サービス「アットマークチャネルクラブ」サービス(月額2,000円)]
 
仕様
画面出力解像度:640ドット×480ドット
CPU:PowerPC 603(66MHz)
RAM:6MB
4倍速CD-ROMドライブ
 
付属品、ソフト
ATMARKコントローラー
通信対応総合ソフト「テレビワークス」
ユーティリティソフト「PEASE」
 
別売品、対応品
専用キーボード(9,800円)
専用1.44MBフロッピーディスクドライブ装置(12,000円)
Apple Color StyleWriter 1500等のプリンタに対応
 
 
バンダイのピピンアットマーク関連WEB記事

  1. 北村ヂン(2019)「世界で一番売れなかったゲーム機「ピピンアットマーク」を買ってみた」デイリーポータルZ、2019年4月28日
    https://dailyportalz.jp/kiji/play-the-pippin-atmark

  2. PCウォッチ編集部(1998)「バンダイ、ピピンから撤退。BDE清算」PC Watch、1998年2月27日
    https://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980227/bandai.htm

  3. 嬉野勝美(1996)「500ドルマック「ピピン」の行方」『マイクロソフト・インターネット制覇の戦略』TBSブリタニカ,pp.48-50
    宮河恭夫(当時、バンダイ・デジタル・エンターテインメント取締役)が「ピピンは今までパソコンやインターネットさえ知らなかった、という人向けの商品なのですが、(市場に現れた最初のネットワークコンピュータということで)むしろ従来からのコンピュータユーザーの方の購入も非常に多い。反響の大きさに驚いています。手応えはかなり感じますね。」と述べていることに関する、p.50に紹介されている成毛真の予想が興味深い。すなわち同氏は、「インターネット端末」としてのピピンという製品コンセプトが適切ではないことを次のように語っている。

    「ピピンのコンセプトは比較的わかりやすい。悪くないと思う。彼らは成功するかも知れない。ただオラクルやIBMのいっているようなネットワークコンピュータの場合、ビジネスのコンセプトやマーケティングのコンセプトはわかっているんだけれども、製品のコンセプトが全然わかっていない。500ドルのノートパソコンでインターネットをやろうとしたら、パソコンの値段よりも実はコミュニケーションコストの方がどの国も高い。ISDNを入れたらアメリカにしろ、日本にしる500ドルより高い、年間に払うお金が。年間で10万円以上通信費用を払える人がなんで500ドルパソコン買わなきゃいけないの、ってことになる。普通1000ドルのパソコン買いますよね。経済的な面の認識が甘い。・・・大失敗という報道が一年以内にあるんじやないか」

  4. 大陸新秩序(2020)「“世界で最も売れなかったゲーム機”ピピンアットマークの真実とは。「黒川塾 七十六(76)」聴講レポート」2020/06/01
    https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20200601101/

    メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏がホストを務めた2020年5月30日開催のトークイベント「エンタテインメントの未来を考える会 黒川塾 七十六(76)」の聴講レポート
    メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏と同姓同名のF2代表取締役社長の黒川文雄氏によるピピンアットマークに関する回想。黒川文雄氏は1995年からMacOSの販売代理人としてピピンアットマークの開発に携わった経験に基づき、次のような興味深い事実を紹介している。

    ピピンアットマークの企画のきっかけは,当時バンダイビジュアル株式会社がリリースしていた各種のマルチメディアCD-ROMソフトのタイトルをMacなど高価格なPCを使わずに再生できないかという話からであった
    当時財政的に厳しい状況に陥っていたAppleは、子どもをターゲットとした低価格機にMac OSをライセンスすることでライセンス収入の拡大を意図していた。

  5. 映像産業振興機構(2019)「バンダイナムコエンターテインメントの社長が語る、これまでの挑戦と失敗。成功体験から学ぶ、挑戦する人が生き残れる会社へ。」(VIPOアカデミー「コーポレートリーダーコース」講演より再構成)2019.11.21
    https://www.vipo.or.jp/interview/list/detail/?i=1505

    宮河恭夫(当時、バンダイ・デジタル・エンターテインメント取締役)が当時を振り返って次のように製品コンセプトを語っている。

    「その頃、CD-ROMのゲームが流行り始めた時代だったので、ハードディスクを持たないマルチメディア機を開発しようと思ったんです。その時の広告コンセプトは高城 剛さんが挙げてきた「インターネットをテレビで見よう」というコピーで、私は「これだ!」と思いました。しかし、早すぎた。(笑)
    当時、インターネットは雑誌で見るものだったんです。インターネットが普及し始めて、「wwwはこんな世界だ」と雑誌で画像写真を載せて紹介していました。そんな時代に「インターネットをテレビで見よう」なんて言われても誰もピンときませんよね。それに技術も追いついていませんでした。」「「3歩先より半歩先」ということです。「ピピンアットマーク」は完全に30歩くらい先を行っていました(笑)」

  6. Innocente, F.(2018) “Pippin, le symbole d’une Apple qui n’existe plus” 2018/05/01
    https://www.macg.co/materiel/2018/05/pippin-le-symbole-dune-apple-qui-nexiste-plus-102052

  7. MOSS, RICHARD (2018) The Secret History of Mac Gaming, Unbound, 416pp
    MOSS, RICHARD “The Mac gaming console that time forgot:From the new book, The Secret History of Mac Gaming, remember Project Pippin?” 2018/3/24
    https://arstechnica.com/gaming/2018/03/the-mac-gaming-console-time-has-forgot/