Intel 8080 vs Motorola MC6800 — 対応プログラミング言語ソフトウェア、発売開始時期

Howard Falk (1974) “Computers: Microcomputer software makes its debut,” IEEE Spectrum IEEE Spectrum, Octover 1974,pp.78-84, DOI: 10.1109/MSPEC.1974.6366690のp80のSome currently available microcomputer softwareの表では利用可能なCross-Assembler、Self-Assembler、Editorが下記のようになっている。

Microcomputer Systems Cross-Assembler Self-Assembler Editor
Intel
MCS-4
MCS-S
MCS-80
Written in ANSI standard Fortran IV; source deck, $1250; now used on many systems, including IBM, CDC, and Univac, Time-sharing versions now up on several commercial systems.
Offers macro and conditional assembly capabilities
Versions for MCS-8 an -80 are compatible with the cross-assemblers.
MCS-4 version is not compatible.Available only to development system users.
No charge
Editors run on MCS-8 and -80. Manipulate strings, search, and substitute.
Available only to development system users.
No charge
Motorola Semiconductor Products MC6800 Runs on Tymshare system ; macro capabilities are in development
None
None Source statemen text editor runs on GE Tymshare system
 
販売開始時期ほか
Electronics December 26, 1974, Vol. 47 No. 26 (Published December 20, 1974) pp.114-115の記事
本記事の中では、モトローラのMC6800がサンプリング出荷の段階からフル生産の状態に移行しつつあることや、少量出荷時でMC6800の価格が$360、ROMが$35、RAM(MCM6810L,128-word-by-8-bitすなわち128byte)が$30.5であることが報じられている。
Michael Holley, Motorola M6800 Microprocessor Historyで同記事をダウンロードできる。
 
Fagginの証言
“It took a year to put the 8080 into silicon and the first production run was in December 1973. Intel introduced the chip to the market in April 1974 at a price of $360. The response was so great that the first five months of shipments repaid the 8080’s development costs.”
After the 4004: the 8008 and 8080. By Federico Faggin
http://www.electronicsweekly.com/blogs/mannerisms/yarns/after-the-4004-the-8008-and-80-2008-08/
“The 8080 really created the microprocessor market. The 4004 and 8008 suggested it, but the 8080 made it real.The 8080 really created the microprocessor market.” Faggin(1992)p.150
Faggin, F. (1992) “The Birth of the Microprocessor”,Byte, March 1992, pp.145-146,148,150
 
当時の解説書
 
CPUの処理速度 —- MIPS値
Intel 8080 0.64MIPS(4004の約20倍、8008の約10倍の総合的性能)(動作周波数2MHz)
Motorola MC6800 0.7-1.3MIPS(動作周波数8-16.7MHz)
[Motorola MC6800のMIPS値の出典]金田悠紀夫(1991)『マイクロプロセッサとRISC』(電子情報通信学会編コンピュータアーキテクチャシリーズ)オーム社、p.2。

ミニコンピュータのCPUのLSI化

DEC LSI-11

「KDF11」
本WEBページの著者によれば、1970年代後半以降には、下記のような理由からミニコンピュータのCPUのLSI化が実行された。

  1. CPUのLSI化により「コンパクトで低価格、さらに高性能を引き出せるかもしれない」
  2. 「大型コンピュータと違い、比較的小規模なコンピュータなので、当時のLSI技術でもLSI化できる見込み」がある
  3. 「ソフトウェアはそのまま使えるし、バスも従来製品のものを踏襲すれば、入出力やメモリシステムを最初から設計し直す必要はない」

NOVAもmicroNOVAとしてLSI化(Fairchild Semiconductor社が製造)=ワンボードプロセッサー化され、DECのPDP-11はLSI-11としてLSI化=ワンボードプロセッサー化された。
DECのPDP-11というミニコンピュータには「多数のユーザがいて、多くのソフトウェア資産やハードウェア資産があり、新興勢力のマイクロコンピュータ勢とは貯えているものが違」ったが、そうしたのである。
ミニコンのCPUのLSI化に関するnkomatus氏の次のような記述はとても興味深い。

「DECは1975年6月に、Western Digitalからマイクロプログラム方式のLSIセットであるMCP-1600を買い込み、それに実行させるマイクロプログラムを書き上げてPDP-11と互換を持たせる方法で、LSI化したミニコンピュータを開発し発表しました。それがLSI-11です。そして、1977年には半分の基板サイズにCPUだけを実装したLSI-11/2を発表します。・・・中心となるLSIのチップセットはF11と呼ばれ、データチップのDC302、コントロールチップのDC303、メモリ管理ユニット(MMU)のDC304から構成されます。オプションで浮動小数点演算命令をサポートするマイクロプログラムROMも搭載できます。これらはDECの独自開発で、LSI-11とLSI-11/2の後継として1979年3月に発表されました。 」
「私は1985年頃、LSI-11/73を使っていました。当時のPCと比べれば、それなりの高性能でした。ただ、バスの規格が古くなっていて、バスの転送速度によって能力がかなり押さえられてしまっていた印象があります。だからこそLSI-11/73はキャッシュメモリをボード上に搭載し、性能をなんとか維持していたのでしょうが。LSI-11バスはUNIBUSの流れを汲み、IBM-PC/ATのISA busと同程度かそれより遅いくらいでした。バスを再設計して、膨大な周辺ボードまで開発し直したりOSを書き換えるほどの価値はないと判断されたのでしょう。パーソナルコンピュータレベルの能力がだんだん近づいてきていましたから。
また、ミニコンピュータの用途としては汎用計算機として使われる他に、大きな工場の機械群を制御する組み込み用コンピュータという面がありました。こちらは8 bitや16 bitのマイクロプロセッサを複数使って制御した方が開発や運用が楽になるということから、やはりシェアを減らします。マイクロプロセッサを組み合わせるぐらいでは使い物にならない、データベースを操作しながら行うような工場全体の製造管理システムにはスーパーミニコンピュータや大型コンピュータが使われるでしょうから、マイクロプロセッサの高性能化に伴い、未来が閉ざされてしまいました。
なお、さらにコストが厳しく性能が低くてもかまなわい分野の組み込み用コンピュータとして使われていたPDP-8シリーズは、PDP-11シリーズより先にマイクロコンピュータの波にのまれてしまっています。そういえば、PDP-8/EはIntersil社からIM6100シリーズとしてマイクロプロセッサ化されています。IM6100シリーズの際立った特徴に完全CMOS化という点があります。低消費電力で電源電圧範囲も広く(4 – 12 V)、乾電池を(安定化電源回路を通さずに)そのまま電源にして動くコンピュータが作れました。 」
 
Section Two: Forgotten/Innovative Designs before the Great Dark Cloud
Part V: The Western Digital 3-chip CPU (June 1976) .
本WEBページの記述によれば、LSi-11のALUチップは、26個の8ビットレジスターと8ビットのALUユニットから構成されている。
 

同様の記述は下記にもある。

William Stallings, Computer Organization and ArchitectureのChapter 20 “Microprogrammed Control”
LSI-11というワンボードプロセッサは、dataチップ, controlチップ,control storeチップという3個のチップから構成されている。そしてdataチップは、”an 8-bit ALU”と26個の8ビットレジスターを中に持つ。 26個の8ビットレジスターの内、16個で”the eight 16-bit general-purpose registers of the PDP-11″の役割を果たすように実装されていた。他のレジスターは、”a program status word, memory address register (MAR), and memory buffer register”として利用されている。ALUは一度に8ビットしか取り扱えないので16-bitCPUのPDP-11の arithmetic operatioの実行はマイクロプログラムにより制御され2パスでなされた。
なおcontrol store chipチップは22ビット幅のcontrol memoryを持っている。
 

モトローラのCPU歴史関連

Michael HolleyがM6800の起源を研究する中で見つけた、モトローラのM6800およびモステクノロジーのMCS6502に関連する論文資料が紹介されている。
その中では、モトローラのMC6800がサンプリング出荷の段階からフル生産の状態に移行しつつあることや、少量出荷時でMC6800の価格が$360、ROMが$35、RAM(MCM6810L,128-word-by-8-bitすなわち128byte)が$30.5であることを報じたElectronics December 26, 1974, Vol. 47 No. 26 (Published December 20, 1974) pp.114-115などの記事をダウンロードできる。
 
安田寿明「モトローラCPUの歩み」『THE COMPUTER』1988年8月号,p66
 
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20141212/394137/
『日経WinPC』2010年8月号に掲載された連載「CPU今昔物語」を再掲したもの
 
3011年7月4日から同年10月30日にかけて、蝉の輪会(日立半導体OB をメンバーとする任意団体)のホームページに掲載された記事をベースとして加筆訂正されたもの。
同記事によれば、1974年10月の時点で「インテルはこの年の6月にすでに8080を製品化しており、モトローラは6800の製品発表を間近にしていた。」という状況であり、2014年10月11日のモトローラ訪問時に同社のマイコン部門のマーケティング担当のコメッツ氏により「すでに200社以上の顧客にサンプルが出されて好評を得ているとのことである。現時点ではインテルの8080がシェアを独占しているが、6800は「5ボルト単一電源」の特長があって使いやすく、2年後の76年時点では50%の市場シェアを取れると確信しているとのこと。また、セカンド・ソースを持つことによって顧客に安心感を与え、インテル陣営に対抗したいとのことで、日立がセカンド・ソースになることを歓迎する」との説明を受けたとしている。
同記事によれば、日立では「8ビット・マイコンについてはシステム・アーキテクチャの設計が最重要であり、デバイス・プロセス技術者を主体とする半導体事業部のリソースのみで取り組むことは難しいと判断していた。中研のシステム部門の助けを借りることにして、72年下期から「依頼研究」の形でオリジナル品の検討が進められた。」が、マイクロプロセッサ事業の立ち上げが急務であるとの認識から、8ビット・マイクロプロセッサ製品に関しては「独自開発」の検討は続けつつも、「先進メーカーとの連携によるセカンド・ソース」路線の採用が必要であるとの意見を牧本次生を具申している。
牧本次生によれば、その理由は「社内でも独自の8ビット品についての検討が進んでいたが、インテル社の8080、モトローラ社の6800との比較検討では、性能的に勝ち目はなかった。その理由の一つはインテル、モトローラともにNMOSベースの製品を開発していたが、日立の製品はPMOSがベースになっていた。PMOS LSIの技術によって電卓で圧勝したことが却って裏目に出たといえるかもしれない。」という認識に基づくものであった。
 その中で1974年5月に訪米し、「WE、RCA、IBM、TI(ダラスとヒューストン)、モトローラ、フェアチャイルド、HAL(日立アメリカ)」などを訪問した結果などを踏まえ、「技術ベースの比較、あるいはマネジメントの視点での戦略シナリオ比較など、多くの議論」をした結果として、「8ビット・マイコンについては、オリジナル製品での勝ち目は難しい。インテルまたはモトローラとの提携が必要」ということが決まり、インテルとモトローラの交渉に臨んだが、セカンドソースの利用承諾をインテルからは得られず、モトローラと組むことになった。
 
MC6800関連資料
 

DEC関連のダウンロード可能資料

DECの社史
DEC(1972,1973,1974,1975,1976,1978) Digital Equipment Corporation Nineteen Fifty-Seven to the Present, 88pp
http://gordonbell.azurewebsites.net/digital/dec%201957%20to%20present%201978.pdf
 
DECの技術的解説書
本ハンドブック序文でGordon Bellは下記のように、LSI-11は、「伝統的産業の障壁を越えて、マイクロコンピュータのパッケージで、ミニコンの性能をユーザーに提供するものである」と書いている。
The LSI-11 (PDP11/03) is the smallest member of the PDP-11 family of computer systems. It offers the user minicomputer performance in a microcomputer package that crosses traditional industry barriers. Therefore, the user can truly add computer power in systems previously too small for computer application. Yet for our traditional user, the boxed version of the LSI-11, the PDP11/03, offers a completely integrated smaller systems tool at lower cost without sacrificing performance. The LSI-11 (PDP11/03) maintains:traditional PDP-11 architectural compatibility. This includes programs up to 64K bytes and the use of the (optional) floating instruction set (FIS) and extended instructi・on set (EIS).
Bell, G.(1975) “COMPUTER STRUCTURES: What we learned from the PDP-11?” ABSTRACT Gordon Bell, William Il. Strecker, November 8, 1975,pp.138-151
http://gordonbell.azurewebsites.net/Digital/Bell_Strecker_What_we%20_learned_fm_PDP-11c%207511.pdf
McWILLIAMS,T. M., FULLER, S. H. and W. H. SHERWOOD “Using LSI processor bit-slices to build a PDP-11 : A case study in microcomputer design” National Computer Conference, 1977, pp.243-253
http://delivery.acm.org/10.1145/1500000/1499444/p243-mcwilliams.pdf
本書所収論文C. Gordon Bell, J. Craig Mudge (1978) “The Evolution of the PDP-11” のp.379で、「PDP11は市場で成功している。1970-1977年という最初の8年間で5万台以上が売れた。」[The PDP-11 has been successful in the marketplace:over 50,000 were sold in the first eight years that it was on the market (1970-1977).]と記されている。
 
DECに関わる関連論文

1970年代後半期におけるマイクロプロセッサー利用状況 — 雑誌Byteの読者を対象とした機械語利用経験のあるコンピュータのCPU種別

Helmers, C. (1977)”Surveying the Field”Byte,May 1977, Vol.2 No.5, pp.6-9に雑誌Byteの読者を対象として1976年10月から11月にかけて実施されたアンケート調査のいくつかの結果が紹介されている。
 
その中の一つに、機械語あるいはアセンブリ言語を利用した経験のあるコンピュータのCPU種別を調べた結果がある。その結果は下記のようになっている。アンケート調査に答えた読者の総数は1,448名である。
 
Any large computer 51%
Any minicomputer 59%
Motorola 6800 23%
MOS Technology 6502 11%
Intel 8080 42%
Zilog Z-80 8%
Intersil IM6100 5%
Digital Equipment LSI-11 13%
RCA 1802 4%
Signetics 2650 2%
National PACE 4%

上記に示されているように、大型計算機で機械語あるいはアセンブリ言語を利用した経験のある読者が51%、ミニコンで機械語あるいはアセンブリ言語を利用した経験のある読者が59%となっているにも関わらず、マイクロプロセッサのCPU種別で見ると、Intel 8080が42%と他を圧倒して多く、LSI-11がZ-80や6502よりは多いものの、13%とIntel 8080の約3割にとどまっている。これは少し意外な結果に思われる。
こうした理由の一つは、LSI-11の総合的な価格対性能比が低いことにあると思われる。例えばLSI-11に関して、Hill,C.(1977) “The Types and Uses of Direct Access Storage”Byte,January 1977, Vol.2 No.1, p.64で下記のように、同価格帯の他のシステムと比較した場合のシステム性能の低さ(システム設計の悪さ)が下記のように指摘されている。すなわち、同価格でIntel 8008では外部記憶装置としてフロッピーディスクが使えるのに、LSI-11ではカセット・テープになってしまう、そのためカセット・テープのデータ転送速度がボトルネックとなる、という致命的な問題を指摘している。
A computer’s potential may be largely wasted without good IO. I contend that a lowly 8008 processor with 16 K bytes and 300 K byte floppy disk will outperform an LSI-11 with 16 K words and 300 K bytes of serial cassette as a general purpose system. The LSI-11 is more than 10 times as fast as a processor, has a much much better instruction set, twice as much memory, and uses its memory better; but nevertheless most of the time it will be waiting on 10 from the cassette. A waiting processor is a wasted processor. There is not even much price difference in the two systems; it is just where the money is spent.
 
また上記の記述「プロセッサーとしては(8008の)10倍速い」が正しいとすると、LSI-11は8080との比較では価格差に見合うだけのスピードがないように思われる。(Intelによれば、8008が0.06MIPSで、8080は0.64MIPSである。したがって8080は8008の約10.7倍のMIPS値である。)
なお McCallum, J. (2003) “CPU Price Performance 1944-2003” http://www.jcmit.com/cpu-performance.htmでは、著者独自の正規化された値であるが、MITSのAltair8800が0.028MIPSであるのに対して、DEC PDP-11/03 (LSI-11搭載、$3,000、動作周波数2.5MHz、1975)は0.01852MIPSとされている。したがってIntelの8080を使用したAltair8800の方が、LSI-11を使用したDEC PDP-11/03の1.5倍も速いということになる。
LSI-11は、C. Gordon Bell, J. Craig Mudge, John E. Mcnamara(1978) Computer Engineering: A Dec View of Hardware Systems Design, Digital Pressのp.335のTable 2. PDP·11 Circuit Technology and Data Pathsに示されているように、レジスターは8bitであったし、data pathも8bit幅であり、16bitのoperandは2CPUサイクルで実行する必要があった。
 LSI-11のプロセッサは、Western DigitalのMCP-1600というマイクロプロセッサを利用したものであるが、MCP-1600はWestern Digital(1977) MCP-1600 Users Manual, p.1-1に書かれているように、ROMに搭載したマイクロコードで既存コンピュータのエミュレーション動作を可能な”8-bit microprogrammable computer”である。内部構成は”8-bit internal organization”であったが、外部アクセスは16bitであったので、8bit CPUで16bitコンピュータのエミュレーション動作を行うことが可能であった。
ちなみに、同じPDP-11シリーズでLSI-11以外の16bit CPUを利用したマシンでは、DEC PDP-11/40($40,000,動作周波数7.143MHz, 1973)が0.06667MIPS、DEC PDP-11/04($10,000,動作周波数3.846MHz, 1975)は0.05185MIPS、DEC PDP-11/70($80,000,1975)は0.67MIPSとなっている。

図の出典はDEC (1976) PDP 11/04 Systems Manual, p.1-3
図はPDP-11/04(1975)用のCPUユニットの写真である。
 
またサポートしているメモリ空間は、8008がメモリアドレス空間が14ビット=214=16KB、8080およびLSI-11がメモリアドレス空間が16ビット=216=64KBである。そのためより高性能なマシンを求める傾向が強いByte読者の多くにとって、LSI-11は8008に比べれば価格はさておき性能的には良いが、8080との比較ではサポートしているメモリ空間が同じであり、価格差に見合うだけの魅力がまったくないように思われる。
 
Byte,January 1976, Vol.1 No.11, p.41の広告では下記のように、DEC LSI-11が $840に対して、8080を用いたIMSAI 8080が$559.95となっている。
またByte,January 1977, Vol.2 No.3, p.66の広告では下記のように、DEC LSI-11/4K Moduleの価格$800は、Z-80 COMPUTER SYSTEM with RAM/PROM Module,Cabinet & Expansion P/C Backplane Controls and Power Supplies, Manualsという数多くの関連モジュールを統合したZ80製品システム価格($395)の2倍にもなる。(なお8080/6800 CPU Board $130, Z80 Processor Board $150, 4K RAM $100となっている。)
これらの広告に示されているように、DEC LSI-11は相対的に高価格のCPUである。

Byte,January 1976, Vol.1 No.11, p.41 Byte,January 1977, Vol.2 No.3, p.66
 
なおByte,January 1978, p.34の下記広告では、LSI-11を用いたシステム価格$3,350の紹介がなされている。
Heathkit H11($1,295)を中核とする本製品システムは、「ホビイストをターゲットとした数少ない完全16ビットのパーソナル・コンピュータ製品システムの一つである」(It’s one of the few FULL 16-bit personal computers available to hobbyists today, and equivalent commercial versions would cost literally thousands of dollars more!)と下記広告では書かれているが、こうしたコンピュータ製品システムは、コモドール、タンディ、アップルなどのPC製品が対象とするユーザー層にとってあまり魅力ある製品ではない。
雑誌Byteが対象とするpersonal computing用コンピュータのユーザーにとっても同じことが言える。
下記のように多くの既存ソフトウェアが動くことは確かに重要であるが、それがミニコンユーザーとっては意義のあることかもしれないが、PC製品ユーザーにとってどの程度まで重要であったのかには疑問が残る。
特に1978年の時点でなお、紙テープでこれらのプログラムが提供されているということは製品の競争優位性の視点で問題である。
ED-11 editor
PAL-11 S relocatable assembler
LlNK-11 S link editor
Absolute Loader
ODT-11X debug
IOX LP I/O executive program
DUMP-AB-PO
DUMP-AB-PB
plus BASIC
FOCAL

Intelの歴史関連資料

1.インテル・ミュージアム(日本語版)
2005年2月4日版
http://web.archive.org/web/20050204194400/http://www.intel.co.jp/jp/intel/museum/index.htm
インテルの歴史に関連する下記資料が収録されている。

「マイクロプロセッサの歴史」
 
「インテルの歩み」
 

インテルマイクロプロセッサ誕生25周年を記念して製作された、インテルの歴史的事項に関わる「著名人へのインタビュー(Interviews)」の日本語版や、「インタラクティブ・ヒストリー(http://www.intel.co.jp/jp/intel/museum/iwh/iwh_main.htm)は2002.10.20現在では残念なことに見ることができない。

このサイトは下記のようなデータから構成されている。

インテルの社史 Corporate Anniversary Brochures
下記のようなインテルの社史をダウンロードすることができる。
15年史 Intel(1988) A Revolution in Progress
20年史 Intel(1993) Intel: Architect of the Microcomputer Revolution
25年史 Intel(1998) Defining Intel: 25 Years / 25 Events
35年史 Intel(2003) Intel: 35 Years of Innovation

Gordon Moore、Robert Noyce、Ted Hoff、Groveらの写真、4004関連の様々な写真、ビジコンの計算機の写真などの歴史的文書をダウンロードすることができる。

1971年の4004から2003年のPentium M までのインテルの主要なマイクロプロセッサーに関する簡単な紹介。一部について大きな画像がある。

インテルのマイクロプロセッサーをファミリー別に分けて、クロック速度、発表日、トランジスタ数、キャッシュメモリ量、対応可能メモリ量、バス速度などの一覧をダウンロードすることができる。
発表日順のマイクロプロセッサー一覧は、http://www.intel.com/pressroom/kits/quickrefyr.htmでダウンロードすることができる。

ムーアの法則に関する様々な文書をダウンロードすることができる。

最初の製品 64-bit Bipolar RAM「3101」(1969年1月1日)からはじめて、 2005年6月27日の Intel Celeron D processor 351まで全部で102ページの一覧表になっている。各製品には簡単なコメントが付されている。

下記のように、インテル社の社員および幹部の証言を見ることができる。
Andy Grove
Ted Hoff
Gordon Moore(1983.10.17
2002.1.31
Robert Noyce(インテル時代Sematech時代

米国における1950-1962における大型計算機の基本システムの初期コスト

Approximate Cost of Computing Systems(Basic or Typical System)

Cost    System
1,000 PERK I II
1,000 PERK I II
6,000 IBM 632
9,650 MONROBOT IX
15,000 HRB SINGER
17,000 to 20,000 ITT BANK LN PROC
18,000 DE 60
19,195 SPEC
20,000 GEOTECH AUTOMATIC
20,000 MAGNEFILE B
22,500 ELECOM 50
24,500 MONROBOT XI
29,750 BURROUGHS E 101
29,750 BURROUGHS E 102
29,750 BURROUGHS E 103
36,000 IBM 609
40,500 PACKARD BELL 250
45,000 DISTRIBUTAPE
49,500 BENDIX G 15
49,500 LPG 30
50,000 ALWAC II
50,000 HAMPSHIRE CCC 500
50,000 MAGNEPILE D
50,000 TRICE
50,000 to 100,000 HAMPSHIRE TRTDS 932
55,000 BENDIX D 12
55,000 IBM 610
56,300 NATIONAL 390
60,000 CDC 160
60,000 ELECOM 100
64,000 IBM 1620
65,000 NATIONAL 102 D
70,000 NATIONAL 102 A
70,000 READIX
75,000 IBM CPC
75,000 UNIVAC 60
76,950 ALWAC III E
80,000 AN/MJQ 1 REDSTONE
80,000 CIRCLE
82,500 NATIONAL 315
84,500 LIBRATROL 500
85,000 MINIAC II
85,000 MODAC 5014
85,200 GENERAL ELECTRIC 312
86,074 MONROBOT V
87,500 RPC 4OOO
95,000 RECOMP II
97,000 ELECOM 120
97,500 UNIVAC 120
98,000 RW 300
100,000 MODAC 404
100,000 PENNSTAC
110,000 PROGRAMMED DATA PROCESSOR
120,000 MODAC 410
120,000 RPC 9000
125,600 IBM 1401
127,000 FOSDIC
141,980 GENERAL MILLS AD/ECS
150,000 MODAC 414
155,000 ELECOM 125 125FP
160,000 BURROUGHS D 204
167,850 IBM 305 RAMAC
170,000 HOHEYWELL 290
175,000 UNIVAC STEP
182,000 IBM 65O RAMAC TAPES
185,000 OARAC
196,000 RCA 301
200,000 BURROUGHS 204
200,000 BURROUGHS 205
200,000 GENERAL ELECTRIC 225
200,000 RASTAC
200,000 RASTAD
225,000 GENERAL ELECTRIC 210
225,000 NUMERICORD
230,000 IBM 701
250,000 MANIAC I
257,000 RCA 501
300,000 ILLIAC
300,000 TELEREGISTER MAGNET INVENT CONT
300,000 UNIVAC FILE 1
300,000 UNIVAC FILE 0
320,000 BURROUGHS 220
347,500 UNIVAC SOLID STATE 8O/9O
350,000 MANIAC II
350,000 UNIVERSAL DATA TRANS
354,000 LOGISTICS
358,000 IBM 702
366,600 NATIONAL 304
400,000 RICE UNIVERSITY
400,000 SWAC
467,000 EDVAC
478,000 BENDIX G 20
500,000 AN/TYK 6V BASICPAC
500,000 GEORGE
500,000 UDEC I II III
500,000 (Donated) UNIVAC 1101
600,000 MERLIN
600,000 BORDEN VOTE TALLY
600,000 ORDVAC
700,000 UNIVAC III
750,000 CDC 1604
750,000 UNIVAC I
800,000 AF/CRC
813,250 IBM 7070
839,700 RCA 601
895,000 UNIVAC 1103 1103A
970,000 UNIVAC II
975,000 HONEYWELL 800
1,000,000 ITT SPES 025
1,000,000 LINCOLN CG 24
1,000,000 NATIONAL 107
1,284,350 IBM 7074
1,400,000 UNIVAC 1102
1,500,000 NAREC
1,500,000 UNIVAC 490
1,600,000 PHILCO CXPQ
1,640,000 IBM 705 I I1
1,800,000 to 2,700,000 UNIVAC 1107
1,932,000 UNIVAC 1105
1,994,000 (Excluding Discount) IBM 704
2,000,000 BRLESC
2,179,100 DATAMATIC 1000
2,200,000 IBM 7080
2,500,000 NORC
2,650,000 IBM 709
2,898,000 IBM 7090
4,500,000 BIZMAC I
6,000,000 UNIVAC LARC

[出典]Weik, Martin H. (1961) A third survey of domestic electronic digital computing systems. Ballistic Research Laboratories Report No. 1115, Department of the Army Project No.5B03-06-002, Ordnance Management Structure Code No.5010.11.812, Aberdeen Proving Ground, Maryland, pp.1081-1082

米国における大型計算機の稼働時期(年代順)

Chronological Order of Initial Date of Operation of Computing Systems

最初の稼働時期(Initial Date of Operation)    コンピュータ・システム名称(System)
May 1950 SEAC
1950 WHIRLWIND II
Mar 1951 SWAC
Mar 1951 UNIVAC I
1951 EDVAC
Mar 1952 MANIAC I
Mar 1952 ORDVAC
Sep 1952 ILLIAC
1952 ELECOM 100
Mar 1955 LOGISTICS
Apr 1955 QARAC
May 1953 IBM 701
Aug 1953 MAGNEFILE D
Aug 1953 UNIVAC 1103 1103 A
Dec 1953 UDEC I II III
1953 IBM 604
1953 NATIONAL 102 A
Feb 1954 MAGNEFILE B
Mar 1954 JOHNNIAC
Apr 1954 DYSEAC
Jun 1954 ALWAC II
Jun 1954 CIRCLE
Jul 1954 MODAC 5011*
Sep 1954 MODAC 1*04
1954 BENDIX D 12
1954 BURROUGHS 204
1954 BURROUGHS 205
1954 IBM 650 RAMAC TAPES
1954 LGP 30
1954 WISC
Feb 1955 IBM 702
Feb 1955 MONROBOT III
Feb 1955 NORC
Mar 1955 MINIAC II
Mar 1955 MONROBOT V
Aug 1955 UNIVAC 1101
Nov 1955 BIZMAC I
1955 ALWAC III E
1955 BURROUGHS E 101
1955 IBM 705 I II
1955 MODAC 410
1955 PENNSTAC
1955 UNIVAC 60
1955 UNIVAC 120
1955 UNIVAC 1102
Feb 1956 READLX
Apr 1956 AF/CRC
Apr 1956 IBM 704
Oct 1956 MODAC 414
1956 BENDIX G 15
1956 BIZMAC II
1956 ELECOM 50
1956 ELECOM 120
1956 ELECOM 125 125FP
1956 IBM 608
1956 LEPRECHAUN
1956 MONROBOT MU
1956 NAREC
1956 PHILCO 1000
1956 RECOMP I CP 266
1956 TELEREGISTER MAGNET INVENT CONT
Sep 1957 GEORGE
Sep 1957 UNIVAC FILE 0
Nov 1957 AN/FSQ 7 AN/FSQ 8 (SAGE)
1957 IBM 709
1957 LINCOLN TX 0
1957 MANIAC II
1957 PHILCO 2000
May 1958 UNIVAC II
Sep 1958 AN/MJQ 1 REDSTONE
1958 IBM 610
1958 LINCOLN TX 2
1958 WRU SEARCHING SELECTOR
Jan 1959 RCA 501
Feb 1959 BURROUGHS 220
Feb 1959 UNIVAC 1105
Jul 1959 GE 100 ERMA
Sep 1959 FOSDIC
Nov 1959 NATIONAL 304
1959 AN/TYK 6v BASICPAC
1959 GENERAL ELECTRIC 210
1959 LIBRASCOPE AIR TRAFFIC
1959 LIBRASCOPE ASN 24
1959 RASTAD
1959 RFC 9000
1959 BW JOO
1959 TRICE
1959 UNIVAC SOLID STATE 80/90
Jan 1960 CDC 1604
Jan 1960 HUGHES BM GUIDANCE
Jan 1960 UNIVERSAL DATA TRANS
Apr 1960 SYLVANIA UDOFTT
Apr 1960 UNIVAC LARC
Aug 1960 BENDDC CUBIC TRACKER
Oct 1960 BURROUGHS D 209
1960 AMOS IV
1960 AN/USQ 20
1960 CUBIC AIR TRAFFIC
1960 CUBIC TRACKER
1960 DIANA
1960 FADAC
1960 GENERAL ELECTRIC 225
1960 GENERAL MILLS APSAC
1960 GENERAL MILLS AD/ECS
1960 GENERAL ELECTRIC 312
1960 HAMPSHIRE TRTDS 9J2
1960 HRB SINGER
1960 HONEYWELL SCO
1960 HUGHES DIGITAIR
1960 INTELEX AIRLINE RESERVATION
1960 IBM 1401
1960 IBM 1410
1960 IBM 7070
1960 IBM 7080
1960 IBM 7090
1960 IBM STRETCH
1960 LEEDS NORTHROP 3000
1960 LIBRASCOPE MK 130
1960 LIBRASCOPE 407
1960 LIBRATROL 1000
1960 LITTON DATA ASSESSOR
1960 MANIAC III
1960 MERLIN
1960 MOBIDIC A
1960 MOBIDIC B
1960 MOBIDIC C D & 7A
1960 NATIONAL 315
1960 NATIONAL 390
1960 NORDEN VOTE TALLY
1960 ORACLE
1960 PACKARD BELL 250
1960 PERK I II
1960 PHILCO 3000
1960 PROGRAMMED DATA PROCESSOR
1960 RCA 200
1960 RCA 300
1960 RFC 4000
1960 RASTAC
1960 RW 400
1960 REPAC
1960 SCRIBE
1960 SPEC
1960 STORED PROGRAM DBA
1960 SYLVANIA S 9400
1960 TARGET INTERCEPT
1960 UNIVAC III
1960 UNIVAC STEP
1960 WESTINGHOUSE AIRBORNE
Apr 1961 BRLESC
Jul 1961 RCA 601
Kov 1961 UNIVAC 490
1961 AN/TYK 7v INFORMER
1961 IBM 7074
1961 ITT BANK LN PROC
1961 ITT SPES 025
1961 OKLAHOMA UNIV
1961 RCA 110
1961 RICE UNIVERSITY
1962 UNIVAC 1107

[出典]Weik, Martin H. (1961) A third survey of domestic electronic digital computing systems. Ballistic Research Laboratories Report No. 1115, Department of the Army Project No.5B03-06-002, Ordnance Management Structure Code No.5010.11.812, Aberdeen Proving Ground, Maryland, pp.1083-1084