「最初のマイクロコンピュータ(microcomputer) あるいは、最初のPCは何か?」という問題に対しては様々な見解がある。というのもその問題は「マイクロコンピュータ(microcomputer)とは何であるのか?」とか、「PCとは何であるのか?」という定義も問題であり、論理的には様々な定義が可能だからである。
Fagginの見解
Faggin,F. (1984) “Interview : Federico Faggin,” Computerworld, July 30 1984,p.6の見解
- 最初にマイクロコンピュータをつくった企業はフランスの会社RPEである。その後、IMSAIやMITSといった他の会社が探し求めていた製品を導入した。それらの会社が、原始的なOSを備えた小さな、本来的なマイクロコンピュータを造り上げたのである。/[ただし]その市場は主としてホビイストのためのものであり、強力なソフトウェアはまだ存在していなかった。(The first company to produce a microcomputer was a French company, RPE. Then other companies like [lmsai. Inc.] and Mits introduced products that were solutions looking for a problem. They produced small, generic microcomputers with primitive operating systems./The market was primarily for hobbyists, and powerful software was nonexistent.)
Fagginが挙げているフランスの会社RPEは、R2E (Réalisation d’Études Électroniques)の間違いかと思われる。R2Eは、Intelの8008を用いたMicralを1973年に発売している。Micralはマイクロプロセッサーを用いた世界最初の商用コンピュータの一つとされている。
Intelが開発した二つの異なるMicro Computer System (MCS)
低コストを強調したの MCS-4(November 1971) , 汎用性(versatility)を強調したMCS-8(April 1972)
それらは二つの極めて異なる市場(two very different markets)をターゲットとしており、片方は低価格の制御装置(controller)市場を、もう一方は汎用パーソナル・コンピュータ(a versatile personal computer , PC)市場をターゲットとしている、というように、Mazor, Stanley (1995) “The History of the Microcomputer — Invention and Evolution” Proceedings of the IEEE, Vol. 83, No. 12 (DECEMBER 1995)は主張している。