歯車式計算機の実用化・量産化が進んだのは19世紀である。フランスのコルマー(Charles Xavier Thomas de Colmar、1785-1870)がアリスモメーターという計算機を発明し、1820年に特許を取得している。同機は、ライプニッツの計算機と同じく段付き歯車を利用したタイプのものであったが、1825年から65年までの40年間に約500台、1865年から1878年までの13年間に約1000台が売れるなど一定の量産がなされるとともに、数多くの類似品が出回った。
1870年代には、スウェーデンのオドネル(Willgodt Theophil Odhner、1845-1905)やアメリカのボールドウィン(Frank Stephen Baldwin、1838-1925)らが、段付き歯車の代わりにピン歯車を利用するようにアリスモメーターを改良し、より大きな数を扱うことができるようにしている。オドネルは1878年に、ボールドウィンは1875年にそれぞれ特許を取得しているが、オドネルの改良機の方がボールドウィンのものよりも頑丈で結果を読み取りやすかったことによってより広く社会的に使われるようになった。
下図ような配置であれば、段付き歯車の7つの歯が円形歯車とかみ合うことになる

[図の出典]
元の図から、歯車の軸および背景色を取り除いた。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Staffelwalzeprinzipbha.jpg
下図では、3つのピンが突き出た状態になっている。

[図の出典]
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Roue_%C3%A0_nombre_de_dents_variables.png
- The Museum of HP Calculators “How Calculating Machines Worked”
https://www.hpmuseum.org/mechwork.htm - National Museum of American History “Stepped Drum Calculating Machines” Collections>Object Groups>Calculating Machines
https://americanhistory.si.edu/collections/object-groups/calculating-machines/stepped-drum-calculating-machines?utm_source=chatgpt.com
Thomas Arithmometer(ca 1820)、Payen Arithmometer(ca 1887)など76のアリスモメーターに関する写真付き解説がある。 - 国会図書館「アリスもメーター」博覧会-近代技術の展示場>第2部 出展品からみる産業技術の発達 > 技術の一覧>計算機
https://www.ndl.go.jp/exposition/data/R/652r.html